「高速鉄道の技術力」から「第二の成長曲線」へ:CRRCが技術の横展開で新エネルギー市場を切り拓く
風力発電機が「立つ高速鉄道」とも称される中、CRRCは、高速鉄道分野で培った「共通の技術基盤」を新エネルギー分野へ横展開する独自のアプローチにより、新たな「第二の成長曲線」を切り拓いています。2025年、CRRCの新産業分野の売上高は863億元を超え、総売上高の35%以上を占めました。2026年第1四半期には、新産業事業の営業収益が前年同期比16.36%増加し、主要4事業分野の中で最も高い成長率を記録しました。
技術基盤の横展開:能力移転を支える基本ロジック
CRRCによる新産業育成の道筋は明確かつ独自性のあるものです。既存の技術力・製造力を新たな分野へ移転し、システム間の連携を図ることを特徴とし、その核心にあるのが「共通の技術基盤」と「産業間の連携」です。
風力発電分野では、この考え方が特に明確に表れています。風力発電における発電プロセスは、高速鉄道車両の電気ブレーキにおけるエネルギー変換のプロセスや原理と高い共通性を持っています。CRRCは、800kWの「鉄道機関車用交流モーター」試験プラットフォームを活用して660kWの「風力発電機」の出荷試験を完了。その後、「高原用機関車」の設計・運用保守に関するノウハウを風力発電分野へ応用し、「高標高対応風力タービン」を開発することで、風力発電設備市場で急速に存在感を高めました。2026年には、世界最大級の出力を誇る浮体式洋上風力発電設備「啓航号(チーファン号)」となる20MW級製品について、各種試験および仕様確定に向けた開発を完了する予定です。
こうした技術基盤の横展開は、複数の「隠れたチャンピオン」も生み出しています。高速鉄道分野で培った技術を活用したCRRCのIGBT(パワー半導体)は、風力発電市場におけるシェアを着実に拡大しています。また、もともと鉄道車両に使用されていたリング溝リベットは、現在では世界の風力発電設備の80%以上のナセルやタワーにおいて、メンテナンスフリーの締結ソリューションとして採用されており、中国国内市場では100%のシェアを占めています。
風力発電から蓄電・水素エネルギーへ:クリーンエネルギー分野への展開
この能力移転のモデルは、風力発電から蓄電、水素エネルギー、太陽光発電など、より幅広いクリーンエネルギー分野へと展開されています。
蓄電分野では、2026年6月、中車株洲所が欧州市場向けに開発した6.X液冷蓄電システムを、欧州最大級のエネルギー関連展示会「The smarter E Europe」で初公開する予定です。従来製品と比較して、エネルギー密度を25%向上させるとともに、設置面積を20%以上削減しています。この製品を支える技術力の背景には、2026年4月に全容量で系統連系を実現したブルガリア・Bohot 200MWh蓄電プロジェクトがあります。同プロジェクトの主要設備は中車株洲所が供給しています。
水素エネルギー分野では、2026年3月、CRRCが中国国際水素エネルギー大会において、材料、部品、設備からシステムに至るまで、水素製造に関する一貫した技術力と柔軟な水素製造ソリューションを展示しました。5月には、中車株洲所が独自に開発・製造した12基の1,200Nm³/h級アルカリ水電解装置が出荷され、世界初の液体太陽燃料工業化実証プロジェクトである中煤鄂能化10万トン/年級液体太陽燃料プロジェクトに導入される予定です。この「柔軟な水素製造」を実現する電解装置は、25%~110%という広い負荷範囲で柔軟に出力を調整でき、直流電力消費量を4.2kWh/Nm³まで低減。風力発電や太陽光発電など、出力変動の大きい再生可能エネルギー由来の電力にも柔軟に対応できます。
高速鉄道で培った中核技術を風力発電、蓄電、水素エネルギーへ体系的に展開することで、CRRCは、「共通の技術基盤」によって新規事業への参入リスクを抑え、「産業間の連携」によって既存事業と新規事業の相互成長を促す独自の事業転換を進めています。これは、中国の中央国有企業が新たな生産力を育成する上でも参考となる「CRRCの答え」といえるでしょう。
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