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ヨーロッパでの初展開から南米市場へ:中国高速鉄道の技術・規格が世界へ広がる


2026年、CRRCのグローバル展開は複数の重要な節目を迎えています。高速鉄道車両の欧州市場への初進出、海外初の現地生産拠点となるブラジル工場の稼働開始、企業連合によるオーストラリア・シドニー地下鉄の大型受注――この3つの出来事は、中国の軌道交通設備が「製品輸出」から「技術・規格+システムソリューション+現地サービス」へと、国際化をさらに深化させていることを示しています。


ヨーロッパ初進出:ハンガリー・セルビア鉄道向け高速鉄道車両が登場

2026年6月7日、現地時間のセルビア・ベオグラードにあるゼムン車両基地で、中国が開発したハンガリー・セルビア鉄道向け高速鉄道車両が公開されました。これは、中国が開発した高速鉄道車両として初めて欧州市場に進出する事例となります。この高速鉄道車両は「復興号」の技術プラットフォームをベースに、セルビアの現地運行環境や路線条件に合わせた適応設計が施され、EUの鉄道相互運用性に関する技術仕様(TSI)の要求にも対応しています。ハンガリー・セルビア鉄道は、中国と中東欧諸国が「一帯一路」構想のもとで共同建設する主要プロジェクトの一つです。全線開通後は、セルビアのベオグラードとハンガリーのブダペストを高速で結ぶ鉄道ネットワークが形成され、中国の高速鉄道技術・規格が欧州市場へ展開する象徴的なプロジェクトとなります。


南米市場での展開:ブラジルで現地生産を開始

ラテンアメリカでは、CRRCの現地投資と事業展開がさらに進んでいます。2026年下半期には、ブラジル・サンパウロ州アララクアラ市にある旧自動車工場を活用し、現地生産を正式に開始する計画です。このプロジェクトは、ブラジル開発銀行(BNDES)から56億レアル(約11億米ドル)の融資を受けており、サンパウロとカンピナスを結ぶ「ノースアクシス」鉄道およびサンパウロ地下鉄向けに、44編成の鉄道車両を生産する予定です。今回の投資は単なる製品供給にとどまらず、技術移転や現地生産も含むものです。ブラジルにおける軌道交通設備の現地製造を推進するとともに、CRRCがラテンアメリカ市場に深く根を下ろし、現地の産業サプライチェーンに参画するための重要な一歩となります。


技術・規格の海外展開:シドニー地下鉄でシステム統合の大型受注

先進国市場においても、CRRCは新たな展開を見せています。香港MTRとCRRCによる企業連合は、オーストラリア・シドニー地下鉄西線プロジェクトの契約を獲得しました。契約総額は39.6億オーストラリアドル(約26.4億米ドル)で、契約期間は22年間に及びます。契約内容には、16編成の無人運転地下鉄車両の供給、信号・通信・列車制御システム、システム統合・試運転に加え、路線開業後15年間の運行・保守サービスが含まれています。このプロジェクトの重要な意味は、単なる鉄道車両の輸出ではなく、「中国の技術+香港の運行ノウハウ」を組み合わせたシステム統合型ソリューションの海外展開にあります。中国の鉄道設備メーカーが、製品単体の供給からシステムソリューションの提供、さらに長期的な運行・保守サービスまで事業領域を広げていることを示す事例といえます。


ハンガリー・セルビア高速鉄道車両の欧州市場への初進出から、ブラジルでの現地生産、そしてシドニー地下鉄におけるシステム統合型プロジェクトの大型受注まで、CRRCは技術の融合、国際規格への対応、事業モデルの革新を原動力として、世界の鉄道市場におけるプレゼンスを着実に高めています。中国の軌道交通設備は、単なる「製品輸出」から、技術・規格、システムソリューション、現地サービスを一体化したグローバル展開へと、新たな段階に進んでいます。